税金

食料品の消費税1%が8%に戻る日 ― 2029年4月に何が起きるか

食料品の消費税を1%にする措置には、終わる日が先に決まっています。2026年(令和8年)8月5日に閣議決定された「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」は、4.(3)①でこう書いています。

① 足下の物価高に鑑み、できる限り早期に対応を講ずる観点から、令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする。

始まりが令和9年4月1日で、期間が2年間です。したがって終わりは令和11年3月31日、8%に戻るのは2029年4月1日ということになります。

そしてこの一文が置かれている章の名前は、「4.制度の経過措置(つなぎ)」です。減税の章ではありません。

結論

この引き下げは、単独の減税ではなく、別の制度が始まるまでのつなぎとして設計されています。 つなぐ先は、令和11年度に本格導入される「所得に連動したきめ細かな給付」です。だから終わる日が先に決まっています。

そして基本方針を読むと、決まっていることと決まっていないことが、きれいに分かれています。

終わる日と、そのとき税率がいくつに戻るかは、書いてあります。一方、戻ったあとに給付がいくら届くのか、どの所得までが対象なのかは、書かれていません。「恒久財源の確保と併せて検討する」とされたまま先送りされています。

つまり、家計の側から見ると、失う側だけが先に確定していて、受け取る側は確定していません。 減税が終わる日に何がいくら出ていくかは、いま計算できます。何がいくら戻ってくるかは、いまは計算できません。

以下、出ていく側を実績で計算します。

計算の前提

税率が戻った分だけ、店頭の税込価格が上がるという前提を置きます。つまり税抜価格は変わらないものとします。

項目条件
つなぎ期間の税率1%(令和9年4月1日〜令和11年3月31日)
戻ったあとの税率8%(軽減税率)
税抜価格変わらないものとする
支出のデータ総務省統計局「家計調査」2025年・第4-6表(品目分類)
二人以上の世帯のうち勤労者世帯・世帯主の年齢階級別
1%の対象食料 − 酒類 − 一般外食(学校給食は1%側に残す)

1%の対象から一般外食だけを引き、学校給食を残しているのは、家計調査の「外食」に学校給食が含まれるためです。 家計調査の収支項目分類表は「外食」を次のように定めています。

原則として、飲食店における飲食費。飲食店(宅配すし・ピザを含む。)により提供された飲食物は、出前、宅配、持ち帰りの別にかかわらず、全て「外食」に分類する。また、学校給食も含む。

税法上、学校給食は軽減税率の対象なので1%になります。したがって家計調査の「外食」をまるごと引くと、1%対象を小さく見積もることになります。

逆に、家計調査の「外食」には出前・宅配・持ち帰りも入っており、これらは税法上は1%の対象です。家計調査からは金額を分離できないため、ここで計算する1%対象額は下限です。実際にはこれより大きくなります。 ただし学校給食の側にも幅があります。家計調査の「学校給食」は、収支項目分類表で「幼稚園児、小学生、中学生及び高校生の給食費。3歳以上の給食費(保育園 保育所)も含む。」と定められています。このうち全日制の高等学校は、ケータリング等の例外として消費税法施行令第2条の4第2項が挙げる施設に入っていません(同項が挙げる高等学校は、夜間課程を置くものだけです)。認可保育所の給食費はそもそも非課税です。家計調査の「学校給食」(40〜49歳で25,700円)に、これらがいくら含まれるかは分離できません。学校給食を全部除いた場合、1%対象は941,550円ではなく915,850円になり、戻る額は1,666円小さく出ます。

2029年4月に、いくら戻るか

家計調査2025年の実績で計算した結果です。

世帯主の年齢食料(年)うち1%対象戻るときの負担増(年)月あたり
30〜39歳1,042,944円770,246円49,923円4,160円
40〜49歳1,244,308円941,550円61,026円5,086円
50〜59歳1,193,718円917,029円59,437円4,953円

世帯主が40代の勤労者世帯で、年61,026円です。 この層は世帯人員が3.74人と最も多く、18歳未満の世帯員が1.54人います。学校給食の支出(25,700円)が最も大きいのもこの層です。

内訳で見ると、こうなります。

941,550円〜2027年3月8%880,524円2027年4月〜1%941,550円2029年4月〜8%に戻る
〜2027年3月8%2027年4月〜1%2029年4月〜8%に戻る
本体価格(税抜)871,806871,806871,806
消費税69,7448,71869,744
合計941,550880,524941,550

下の濃い部分(本体価格 871,806円)は3本とも同じ高さです。動いているのは上の消費税だけで、真ん中の2年間だけ 8,718円 に縮み、2029年4月には 69,744円 に戻ります。減税は本体価格を下げていません。

世帯主40〜49歳の勤労者世帯が、1年間に買う1%対象の食料品(941,550円)の内訳。家計調査2025年の実績。税抜価格が変わらない前提で計算。

この減税は、本体価格に触れていません。 動いたのは税の部分だけなので、戻るときも税の部分だけが元に戻ります。つまり、2027年4月にレシートが軽くなった分が、そのまま2029年4月に戻ってくる分です。

下がるときと戻るときで、率は一致しません

同じ金額が動くのに、率で見ると一致しません。

下がるとき  1.01 ÷ 1.08 = 0.9352  → 6.48% 下がる
戻るとき    1.08 ÷ 1.01 = 1.0693  → 6.93% 上がる

分母が違うためです。 下がるときは8%込みの価格を基準にし、戻るときは1%込みの価格を基準にします。同じ61,026円でも、小さい方の金額を基準にすれば率は大きく出ます。

金額で見れば、下がる額と戻る額は同じです。 率だけを見て損得を判断する必要はありません。

受け取るのは2年分、出ていく側に期限はありません

ここが、時限措置をどう家計に置くかの分かれ目です。

40〜49歳30〜39歳50〜59歳
2年間で受け取る合計122,052円99,846円118,874円
2029年4月以降、毎年61,026円49,923円59,437円

2年間で受け取るのは1回きりです。 これに対して、戻ったあとの負担は毎年続きます。年数の制限が付いているのは受け取る側だけです。

したがって、2年分を月々の生活費に溶かしてしまうと、2029年4月に月5,086円分の生活水準を下げることになります。 期限のある収入は、期限のある使い方をするほうが安全です。

給付とセットで見ると、落差は最大8ポイント分になります

閣議決定は、1%への引き下げを単独では設計していません。同じ4.(3)の②にこうあります。

➁ あわせて、(略)本制度の本格導入を先取りした取組として、飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で、現時点で公的機関が保有する所得情報を活用した「所得に連動したきめ細かな給付」を令和9年度に導入する。

これらの取組により、全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現する。

残る1%を給付で埋めて、全体として実質的にゼロにするという組み立てです。

仮に1%分がまるごと補われていたとすると、2029年4月の落差は、7ポイント分ではなく8ポイント分になります。

世帯主の年齢減税だけの落差(8%→1%)1%分も補われた場合(8%→0%)差
30〜39歳49,923円57,055円7,132円
40〜49歳61,026円69,744円8,718円
50〜59歳59,437円67,928円8,491円

ただし、右の列は上限です。 閣議決定の一文には、読み飛ばしてはいけない語が2つ入っています。「範囲内で」と「全体として」です。

「実質ゼロ」は制度全体の話で、世帯ごとの精算ではありません

2026年9月8日に示された大綱(案)は、つなぎ期間の給付についてこう書いています。

令和9年度及び令和10 年度中に支給される支援金については、支援金全体として要する費用が飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲となるよう定める。

国全体の給付総額を、飲食料品の消費税1%相当分の枠に収めるという意味です。ある世帯が払った1%分を、その世帯に返す仕組みではありません。

給付の形も、家計の食費とは結び付いていません。閣議決定は給付を「個人単位」とし(2.(2))、「一定の勤労性の所得があり、一定の税・社会保険料負担がある者」を対象とし(2.(3))、「総所得が一定額を超える場合、公平性の観点から、総所得に応じて逓減・消失させる」(2.(4))としています。

したがって、40代の勤労者世帯が2029年4月に感じる落差は、61,026円と69,744円の間のどこかです。 どこに落ちるかは、その世帯の誰がいくら給付を受け取っていたかで決まり、食費の額では決まりません。

ただし、給付そのものが無くなるわけではありません

ここは正確に押さえてください。 給付は恒久施策として続きます。基本方針は「令和11 年度に導入する」と書いており、内閣官房のページも「令和11年度から、『所得に連動したきめ細かな給付』を導入します」としています。

問題は、その額が決まっていないことです。 基本方針の2.(6)と(7)は、給付の閾値となる所得水準についても給付額についても、「恒久財源の確保と併せて検討する」としています。

したがって、2029年4月に「差し引きでいくら」になるのかは、現時点では計算できません。 分かっているのは、税率が8%に戻ることです。差し引きに必要な給付の額は、後で見るとおり、大綱の案が出たあとも決まっていません。

なぜ2年なのか ― 挙げられた理由のひとつは、高校生年代の把握です

「2年」という長さには理由が書かれています。 基本方針の4.(1)です。

「所得に連動したきめ細かな給付」については、公平性などの観点から高所得の配偶者を把握するとともに、子育て世帯への支援の観点から16 歳から18 歳までの被扶養者の情報を把握するなど、追加的な情報確保の仕組みも必要となることから、必要な環境整備に取り組むことを前提として、その環境が整うことが見込まれる令和11 年度に本格導入するものである。

原文が挙げているのは2つです。高所得の配偶者を把握することと、16歳から18歳までの被扶養者の情報を把握すること。そのうえで「など」と続いているので、この2つで尽きているわけではありません。

それでも、名指しで書かれた2つのうち1つが子育て世帯の話であることは動きません。 高校生年代の子どもを数える仕組みが今は無く、その環境が整うのが令和11年度の見込みだから、本格導入はそこまで待つ。そして、その待ち時間をつなぐために食料品の減税が置かれました。

つまりこの減税は、子育て世帯の情報基盤が整うまでの時間を埋めるために設計されています。 減税の話でありながら、期限を決めているのは子育て世帯の把握の話だ、という構造になっています。

2029年4月に、こども加算の対象年齢が変わります

同じ理由から、給付のこども加算は、つなぎと本格導入で年齢が違います。

本格導入する制度について、基本方針の2.(5)はこう書いています。

(5)こどもを扶養している者については、18 歳以下のこどもの人数に応じた加算を行う。

一方、つなぎ期間に先行導入する給付については、4.(3)の(※1)がこう書いています。

本格導入時には行われる世帯のうち配偶者の所得を勘案する一定の例外措置を設けず、18 歳以下のこどもの人数に応じた加算に代えて15 歳以下のこどもの人数に応じた加算を行うなど経過的な措置を講ずるものである。

期間こども加算の対象
つなぎ(令和9年度〜)15歳以下
本格導入(令和11年度〜)18歳以下

子どもは2年で2歳、年をとります。 ここに3歳分の段差があるので、子の年齢によって出入りが起きます。

基本方針は年齢の判定基準日を書いていません(後で見る大綱の案にも書かれていません)。以下は、各年度で1歳ずつ年をとるものとして並べた場合の整理であって、基準日が決まれば1年ずれる可能性があります。
2027年度の年齢2027年度2028年度2029年度
14歳以下○○○通して対象
15歳○×○2028年度だけ外れる
16歳××○2029年度から入る
17歳・18歳×××どの年度にも入らない

中学3年生の年代の子がいる世帯は、2028年度だけ加算から外れて、2029年度にまた入る形になります。 高校2年生・3年生の年代の子は、つなぎにも本格導入にも入らないまま、対象年齢を通り過ぎます。

この段差は、税率が8%に戻るのと同じ2029年4月に生じます。 家計にとっては、税と給付の2つが同じ月に動くことになります。

「反動が大きい」ことは、決めた側も書いています

基本方針の別紙である「中間とりまとめ(令和8年7月29 日社会保障国民会議)」には、この設計に対する懸念がそのまま残されています。

課題として挙げられているものの中に、こうあります。

2年後の税率引上げに係る懸念

さらに、実務者会議の意見として、次の2つが併記されています。

飲食料品に係る消費税率の時限的な引下げについては、減税を終了した際に負担増となる者が多く、1%への引下げは反動が大きい。

飲食料品に係る消費税率の引下げについては、本制度の本格導入までのつなぎとして位置付けられているが、減税を2年後に終了した際に負担増となる者が多く、接続に課題がある。

中間とりまとめは、この点について意見が一致しなかったことも書いています。

制度の経過措置(つなぎ)については、実務者会議において、現下の物価高や税・社会保険料負担に苦しむ中低所得者への対応の必要性が共有され、意見の集約に向けた議論が積み重ねられたが、具体案について意見の一致には至らなかった。

そのうえで、閣議決定された本文の4.(6)は、次の一文で終わっています。

(6)なお、消費税減税の終了時に「所得に応じたきめ細かな給付」に円滑に接続するために必要な措置を講ずる。

中間とりまとめでは「必要な措置を講ずるべきとの意見があった」という書き方でしたが、閣議決定では「講ずる」に変わっています。 意見が政府の方針に格上げされた形です。

ただし、閣議決定の本文には、その措置の中身が書かれていません。 中身の一部が出たのは、その1か月後です。

その後 ― 2026年9月8日に大綱の案が出て、9月11日に再び示されました

2026年9月8日、内閣官房の「「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場」(第3回)に、**「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(案)」**が示されました。給付には「就業者負担軽減支援金」という名前が付いています。

家計に関わるところを4つ挙げます。

① 終わる日が、日付で書かれました

1 現下の物価の上昇に鑑み、令和9年4月1日から令和11 年3月31 日までの間に事業者が国内において行う飲食料品(現行の軽減税率の適用対象となっている飲食料品をいう。以下同じ。)の譲渡(略)について、消費税の税率を0.78%とする特例を創設する(地方消費税率と合わせて1%。以下「特例税率」という。)。

閣議決定は「2年間」としか書いていませんでした。日付が原文に現れたのは、ここが最初です。 この記事の冒頭で導き出した令和11年3月31日と一致します。

1%の内訳も初めて出ました。国税0.78%と地方消費税0.22%相当分の合計で1%です。この記事の計算は税込の合計で行っているので、内訳が変わっても金額は変わりません。

② 2029年4月の「必要な措置」の中身が示されました

閣議決定の4.(6)が「必要な措置を講ずる」とだけ書いていた部分です。

令和11 年度中に支給される支援金については、飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げの終了時に、令和11 年度以降の支援金に円滑に接続するため、**令和11 年4月に、年度替わりの地方自治体の事務負担を十分考慮しつつ、令和10 年度の受給資格者に対して令和11 年度以降の制度による支援額の半年分相当額を基本とした額を先行して支給する。**その後、令和11 年度の受給資格者に対して当該支援額の半年分相当額を基本とした額を支給する。

2029年4月に、前年度に受給資格があった人へ、「半年分相当額を基本とした額」が先に支払われるという形です。ただし支援額そのものは決まっていません(「恒久財源の確保と併せて検討し定める」)。落差が埋まるかどうかは、いまも計算できません。

③ こども加算が「扶養親族」の言葉になりました

大綱(案)は加算の対象を「19 歳未満の居住者である扶養親族」(つなぎ期間は「16 歳未満の扶養親族」)と書いています。18歳以下・15歳以下という区切りは変わりませんが、数え方が税法の扶養親族に乗りました。 把握の経路も書かれていて、確定申告書・源泉徴収票・住民税申告書・給与支払報告書の様式を変えて「扶養児童の有無及び数」を取るとされています。

それでも、年齢をいつの時点で判定するかは大綱(案)にも書かれていません。前の節の年齢表は、各年度で1歳ずつ年をとるものとして並べた整理のままです。

④ 切り替わりの前後2か月は、値札と支払額がずれることがあります

総額表示(税込価格の表示)の義務は残りますが、大綱(案)は、直ちに対応することが困難な事情がある場合に限り、切り替わりの前後に古いほうの税率で表示することを認めています。本来の税込価格だと誤認させないための措置を講じることが条件です。

(1)令和9年4月1日から同年5月31 日まで及び令和11 年2月1日から同年3月31 日まで 軽減税率(8%)に基づく税込価格

(2)令和9年2月1日から同年3月31 日まで及び令和11 年4月1日から同年5月31 日まで 特例税率(1%)に基づく税込価格

2029年の側だけを取り出すとこうなります。

期間実際に払う税率値札に出ていてよい税込価格
2029年2月1日〜3月31日1%8%に基づく価格(値札のほうが高い)
2029年4月1日〜5月31日8%1%に基づく価格(値札のほうが安い)

切り替わりを挟む2か月ずつは、値札の数字とレジの支払額が違うことがあるということです。

これは大綱の「案」です。 「(地方と協議中)」と付された項目が多く、閣議決定もされていません。

⑤ 3日後、同じ案がもう一度示されました

2026年9月11日、同じ協議の場の第4回に、同じ表題の大綱(案)が再び示されました。 ①〜④で見た期間・税率・こども加算の区切り・総額表示の特例は、いずれも9月8日の案から変わっていません。日付欄が「令和○年○月○日」のままであることも、「(地方と協議中)」が6か所付いていることも同じです。

家計から見て新しかったのは、同じ日の資料1です。2029年4月の先行支給について、こう書かれています。

・令和11年4月支給は、既に確定した令和10年度受給資格者に対し、支援額のみ変更して支給(あらためての受給意思確認等は不要)

2029年4月の先行支給を受けるために、あらためて手続きをする必要はないという整理です。ただしこれは、令和10年度に受給資格の認定を受けていることが前提です。

支給の回数も示されました。大綱(案)は支援金について「支給回数は毎年一回とする」としており、資料1の図では毎年度の支給が「秋支給」と書かれています。そのうえで、令和11年度だけが4月と秋の2回になります。

同じ資料の工程表は、法律について「令和8年度 法案提出」とだけ書いています。提出の時期はこれ以上細かく書かれていません。

まだ法律はありません

最後に、状況を確認しておきます。

2026年9月16日時点で、この引き下げの根拠となる法律は成立していません。 大綱は2026年9月15日に閣議決定されましたが、それは法律ではありません(後述の【2026年9月16日 追記】)。

確認したもの内容
財務省「これまでに決定した消費税に関する法律等」最も新しい項目は令和元年10月1日(消費税率10%への引上げ・軽減税率制度の導入)。飲食料品1%の記載なし
財務省「国会提出法案」最新は第221回国会(令和8年2月20日〜)。財務省提出の5件に消費税率の法律案なし
内閣官房「社会保障国民会議」2026年9月8日(第3回)と9月11日(第4回)に**大綱(案)**が示され、2026年9月15日に大綱が閣議決定された。日付欄は「令和8年9 月15 日 閣議決定」になっている

したがって、終わる日も税率も、いま拠りどころになるのは閣議決定された政府の基本方針と大綱です。 法律ができるときに、期限がどう条文に書かれるか(延長の余地を残すかどうか)が決まります。

【2026年9月16日 追記】大綱が閣議決定されました(期間も税率も変わっていません)

2026年9月15日、この記事が読んできた大綱(案)が閣議決定されました。 表題から「(案)」が取れ、日付欄が「令和8年9 月15 日 閣議決定」になっています。

9月11日版と全文を突き合わせましたが、この記事が扱っている部分は一字も動いていません。

この記事の柱閣議決定版
終わる日は令和11年3月31日「令和9年4月1日から令和11 年3月31 日までの間」で同じ
戻る税率は8%(軽減税率の維持)「(注1)…現行制度を維持する。」で同じ
こども加算は、つなぎの2年が16歳未満、本格導入から19歳未満「②扶養児童については、16 歳未満の扶養親族とする」「19 歳未満の居住者である扶養親族」で同じ
令和11年4月に半年分相当が先行支給される「令和11 年4月に、年度替わりの地方自治体の事務負担を十分考慮しつつ、令和10 年度受給資格者に対して令和11 年度以降の制度による支援額の半年分相当額を基本とした額を先行して支給する。」(案の「令和10 年度の受給資格者」から「の」が取れただけ)
戻るときの総額表示の特例(令和11年2〜3月は8%表示、4〜5月は1%表示)第二 二4(1)(2)が同じ
給付の額と閾値は空欄のまま「恒久財源の確保と併せて検討し定める」で同じ。一つも埋まっていない

そしてこの記事の結論も変わりません。 決まったのは失う側(いつ終わり、いくら戻るか)だけで、そのあとの給付は額も閾値も決まっていません。閣議決定は、その非対称をそのまま閣議決定しただけです。

変わったのは、案の段階で7か所に付いていた「(地方と協議中)」がすべて消えたことと、給付側の字句が数か所整理されたことです。根拠となる法律は、2026年9月16日時点でまだありません。

あなたの数字で確かめる手順

① 1年分のレシートから、8%対象の小計を合計する

必要なのはレシートか家計簿です。軽減税率の対象品目には「※」などの記号が付き、8%対象の小計が別に印字されているので、そこを合計します。

1年分が難しければ、1か月分を12倍してください。ただし年末年始や長期休暇の月は食費が跳ねるので、ふつうの月を選びます。

② 6.48%を掛ける

8%対象の食費(年・税込)× 6.48% = 2029年4月からの年間の負担増
÷ 12 = 月あたりの負担増

いま食料品を1%で買うようになったときの減少額と、同じ金額です。 2027年4月にレシートがいくら軽くなったかを控えておけば、それがそのまま2029年4月に戻る額になります。

③ 給付を受け取っているなら、7.41%が落差の上限

②で出した額に、給付で補われていた分が上乗せされます。上限は、残る1%分もまるごと補われていた場合です。

8%対象の食費(年・税込)× 7.41% = 落差の上限(1%分も補われていた場合)

実際の落差は、②の額とこの上限の間のどこかです。 給付の額は食費に連動しないので、これ以上は絞れません。

7.41%は 0.08 ÷ 1.08 です。8%込みの価格に占める消費税の割合そのものを指しています。

④ 子の年齢を、2029年度で数えておく

2029年度に18歳以下になる子が何人いるかを数えます。 つなぎ期間に15歳以下だった子が、2029年度も対象とは限りません。逆に、いま対象外の高校生年代の子が2029年度から入る場合もあります。

まとめ

  • 食料品の消費税1%は2029年3月31日で終わり、2029年4月1日に8%へ戻る予定(令和9年4月1日から2年間、と閣議決定に明記)
  • この引き下げは**「4.制度の経過措置(つなぎ)」の章に置かれている。** 令和11年度に本格導入する「所得に連動したきめ細かな給付」までのつなぎとして設計されている
  • 決まっているのは失う側だけ。 戻ったあとの給付の額と対象所得は「恒久財源の確保と併せて検討する」とされ、まだ決まっていない
  • 家計調査2025年の実績で計算すると、戻るときの負担増は世帯主40代の勤労者世帯で年61,026円(月5,086円)、30代で49,923円、50代で59,437円
  • 下がるときは6.48%、戻るときは6.93%。 率は一致しないが、金額は同じ
  • 受け取るのは2年分(40代で122,052円)で1回きり。戻ったあとの負担は毎年続く
  • 給付の1%分もまるごと補われていた場合、落差は8ポイント分になり、40代で年69,744円(月5,812円)。ただしこれは上限。「実質ゼロ化」は給付総額を1%相当分の枠に収める制度全体の話で、世帯ごとの精算ではない
  • 本格導入が令和11年度になる理由の一つは、16歳から18歳までの被扶養者を把握する仕組みが無いこと。 その環境整備の時間を埋めるのが、この2年
  • 2029年4月にこども加算が15歳以下から18歳以下へ変わる。 2027年度に15歳の子は2028年度だけ外れ、17歳・18歳の子はどの年度にも入らない
  • 中間とりまとめは「2年後の税率引上げに係る懸念」「反動が大きい」「接続に課題がある」を課題・意見として記録しており、意見の一致には至っていない
  • **2026年9月8日の大綱(案)**で、期間が「令和9年4月1日から令和11年3月31日までの間」と日付で書かれ、2029年4月に前年度の受給資格者へ支援額の「半年分相当額を基本とした額」を先行支給する形が示された。額はまだ決まっていない
  • 9月11日の第4回にも同じ案が示され、期間・税率・こども加算の区切り・総額表示の特例は変わっていない。 先行支給は「あらためての受給意思確認等は不要」とされ、令和11年度だけ支給が4月と秋の2回になる
  • 根拠となる法律は2026年9月13日時点で成立していない

2029年4月に何がいくら戻るかは、いま計算できます。その額を、2027年4月にレシートで確かめておいてください。 軽くなった分がそのまま、2年後に戻る分です。

よくある質問

食料品の消費税1%は、いつ終わりますか。

2029年(令和11年)3月31日で終わり、2029年4月1日から8%に戻る予定です。2026年(令和8年)8月5日に閣議決定された「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」は、4.(3)①で「足下の物価高に鑑み、できる限り早期に対応を講ずる観点から、令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする」としています。始まりが令和9年4月1日で期間が2年間なので、終わりは令和11年3月31日です。この引き下げは、同じ基本方針の「4.制度の経過措置(つなぎ)」という章に置かれており、恒久的な減税ではなく、令和11年度に本格導入する「所得に連動したきめ細かな給付」までのつなぎとして設計されています。なお、この引き下げの根拠となる法律は2026年9月13日時点で成立していません。財務省「これまでに決定した消費税に関する法律等」の最も新しい項目は令和元年10月1日のままで、「国会提出法案」に載っている直近の第221回国会の財務省提出法案5件にも、消費税率に関する法律案はありません。ただし2026年9月8日に、内閣官房の「「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場」(第3回)へ「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(案)」が示され、そこでは期間が「令和9年4月1日から令和11年3月31日までの間」と日付で書かれています。同じ案は9月11日の第4回にも示されており、この期間は変わっていません。この大綱は2026年(令和8年)9月15日に閣議決定されました。ただし閣議決定は「政府としてこの内容で法案を作る」という決定であって、法律ではありません。

8%に戻ると、我が家はいくら負担が増えますか。

総務省統計局「家計調査」2025年の実績で計算すると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯で世帯主が40〜49歳の場合、年61,026円(月5,086円)です。この層の年間の食料費は1,244,308円で、そこから酒類43,609円と一般外食259,149円を除いた941,550円が1%の対象になります(学校給食は軽減税率の対象なので1%側に残ります)。税抜に直すと871,806円で、これに7ポイント分がかかるためです。世帯主30〜39歳では年49,923円(月4,160円)、50〜59歳では年59,437円(月4,953円)になります。ご自身の数字で出すには、レシートの8%対象の小計を1年分合計し、6.48%を掛けてください。なおこれは税抜価格が変わらないという前提を置いた計算です。実際には店頭価格が税率どおりに動くとは限りません。

下がるときと戻るときで、率は同じですか。

同じではありません。税抜価格が変わらないとすると、8%から1%へ下がるときの税込価格は1.01÷1.08=0.9352倍なので6.48%下がりますが、1%から8%へ戻るときは1.08÷1.01=1.0693倍なので6.93%上がります。率が食い違うのは、下がるときの分母が8%込みの価格、上がるときの分母が1%込みの価格で、比べている基準が違うからです。金額で見れば、下がる額と戻る額は同じです。世帯主40〜49歳の勤労者世帯なら、下がるときも戻るときも年61,026円です。率だけを見て「6.48%下がって6.93%上がるから損」と考える必要はありませんが、戻るときのほうが率としては大きく表示されることは知っておいてください。

給付とセットで「実質ゼロ」になると聞きました。戻るときはどうなりますか。

閣議決定は、1%への引き下げとあわせて「飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で」所得に連動した給付を令和9年度に導入し、「これらの取組により、全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現する」としています。読み落とせないのが「範囲内で」と「全体として」です。2026年9月8日に示された大綱(案)は、つなぎ期間の給付について「支援金全体として要する費用が飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲となるよう定める」と書いています。国全体の給付総額を1%相当分の枠に収めるという意味であって、ある世帯が払った食料品の消費税1%分がその世帯に返る仕組みではありません。給付は「個人単位」で、一定の勤労性の所得と一定の税・社会保険料負担があることが要件で、総所得が一定額を超えると逓減・消失します。したがって、仮に1%分がまるごと補われた場合の落差は7ポイント分ではなく8ポイント分で、世帯主40〜49歳の勤労者世帯なら年69,744円(月5,812円)になりますが、これは上限です。実際の落差は61,026円と69,744円の間のどこかで、どこに落ちるかは世帯の食費ではなく、誰がいくら給付を受け取っていたかで決まります。なお給付そのものが2029年4月になくなるわけではありません。基本方針は令和11年度に「所得に連動したきめ細かな給付」を本格導入するとしており、給付は恒久施策として続きます。問題は、その給付の額と対象になる所得の水準が「恒久財源の確保と併せて検討する」とされていて、現時点では決まっていないことです。

子どもがいる世帯は、2029年4月に何が変わりますか。

こども加算の対象年齢が変わります。閣議決定は、本格導入する制度について「こどもを扶養している者については、18歳以下のこどもの人数に応じた加算を行う」としていますが、つなぎ期間の先行導入では「18歳以下のこどもの人数に応じた加算に代えて15歳以下のこどもの人数に応じた加算を行う」とされています。つまりつなぎの2年間は15歳以下、本格導入からは18歳以下です。2026年9月8日に示された大綱(案)は、これを「19歳未満の居住者である扶養親族」(つなぎ期間は「16歳未満の扶養親族」)と、税法の扶養親族の言葉で書き直しています。区切りは変わりません。基本方針も大綱(案)も年齢の判定基準日は書いていないため確定的なことは言えませんが、各年度で1歳ずつ年をとるものとして並べると、2027年度に15歳の子は2028年度だけ加算から外れて2029年度に戻り、16歳の子は2029年度から入り、17歳・18歳の子はどの年度にも入りません。なお基本方針は、本格導入が令和11年度になる理由として「公平性などの観点から高所得の配偶者を把握するとともに、子育て世帯への支援の観点から16歳から18歳までの被扶養者の情報を把握するなど、追加的な情報確保の仕組みも必要となる」ことを挙げています。名指しされているのは高所得の配偶者と16歳から18歳までの被扶養者の2つで、そのあとに「など」が続くので、この2つで尽きているわけではありません。それでも、高校生年代を数えるための仕組みがまだ無いことが、理由として書かれていることは確かです。

2年で終わらずに延長される可能性はありませんか。

現時点では分かりません。基本方針は「2年間に限った経過措置(つなぎ)」と書いており、延長を予定した記述はありません。2026年9月8日に示された大綱(案)も「令和9年4月1日から令和11年3月31日までの間」と期間を区切っており、延長の記述はありません。一方で、根拠となる法律がまだ成立していないため、期限がどう条文に書かれるかも確定していません。参考になるのは、基本方針の別紙である「中間とりまとめ」に、この2年という設計への懸念がそのまま残されていることです。そこには課題として「2年後の税率引上げに係る懸念」が挙げられ、実務者会議の意見として「減税を終了した際に負担増となる者が多く、1%への引下げは反動が大きい」「減税を2年後に終了した際に負担増となる者が多く、接続に課題がある」が併記されています。政府もこれを受けて、4.(6)に「なお、消費税減税の終了時に『所得に応じたきめ細かな給付』に円滑に接続するために必要な措置を講ずる」と書いています。閣議決定にはその中身がありませんでしたが、2026年9月8日に示された大綱(案)が、令和11年4月に令和10年度の受給資格者へ支援額の「半年分相当額を基本とした額」を先行して支給する、という形を示しました。9月11日の第4回にはこの先行支給について「既に確定した令和10年度受給資格者に対し、支援額のみ変更して支給(あらためての受給意思確認等は不要)」という運用の方向性も示されています。額そのものはまだ決まっていません。

出典

制度の内容は改正されることがあります。判断の際は必ず出典元の最新情報をご確認ください。