税金

食料品の消費税1%、前払いした定期便と通販は8%のまま ― 2つの締切

2027年4月1日から、食料品の消費税が8%から1%になります。令和8年8月5日の閣議決定で決まった方針です。

ところが、そこから外されるものが2つあります。 令和8年9月15日に閣議決定された大綱は、こう書いています。

2 次に掲げる定期供給契約及び通信販売による飲食料品の譲渡については、特例税率を反映した契約変更等が困難な事例が生じること等が想定される。

これを踏まえ、特例対象課税資産の譲渡から除外して、特例税率を適用しないこととする。

家計の言葉に直すと、こうなります。年内に契約して代金を前払いした定期便は、2027年4月以降に届く分も8%のままです。

この記事は、令和8年9月15日に閣議決定された大綱(全16ページ)を原文で確認して書いています。閣議決定の前日まで出ていた大綱(案)(令和8年9月11日・協議の場 第4回 資料2)と全文で突き合わせましたが、ここで扱う第二 一 2 の除外規定は一字も変わっていません。 ただし、閣議決定は法律ではありません。 2026年9月26日時点で根拠となる法律はまだ成立しておらず、法案も提出されていません(財務省「これまでに決定した消費税に関する法律等」の最新項目は令和元年10月1日。衆議院「国会会期一覧」「議案の一覧」および内閣官房「国会提出法案」の最新はいずれも第221回国会で、同国会は令和8年7月25日に会期が終わっているため、提出先の国会がまだ召集されていません)。一方、国税庁のQ&Aは令和8年9月15日に公表されていました。当初この注記は「国税庁のQ&A・通達も出ていません」と書いていましたが、誤りでした。 Q&Aで確かめた内容は「その後 ― 国税庁のQ&Aが出ていました」に追記しています(通達は出ていません)。

結論

同じ商品を同じ日に受け取っても、いつ契約し、いつ代金を払ったかで税率が変わります。

これは新しい発想の規定ではありません。消費税の税率が動くときに毎回置かれてきた経過措置と、ほとんど同じ形をしています。 違うのは向きだけです。

税率が上がるときは、古い税率に据え置かれることが買い手にとって有利でした。据え置かれるのは安いほうだからです。ところが今回は税率が下がるので、同じ据え置きが逆に働きます。据え置かれるのは高いほうです。

そしてこれは、買い手が後から選び直せるものとして設計されていません。決まるのは契約と支払いの時期であって、あとで気づいて申し出る余地は、大綱の文面には書かれていません。ただし、国税庁のQ&Aは、売り手と契約を結び直した場合には下がった税率が適用されると書いています。 選んで外れることはできないが、契約を変える道は残されている、という形です。

以下、何が外れるのか、いくら変わるのかを順に見ます。

計算の前提

項目条件
現在の税率8%(消費税6.24%+地方消費税1.76%)
引き下げ後(特例税率)1%(消費税0.78%+地方消費税0.22%相当分)
期間令和9年4月1日〜令和11年3月31日
税抜価格変わらないものとする
対象現行の軽減税率の対象となっている飲食料品

税抜価格が同じなら、8%と1%の差は税抜価格のちょうど7%です。 税込8%の価格から見ると6.481%(約6.5%)下がります。

外れるのは2つの類型 ― 条件を分解する

大綱が本文で挙げているのは、次の2つです。

(1)定期供給契約

令和9年1月1日前に締結した定期供給契約(不特定かつ多数の者に定期的に継続して供給する契約をいい、特例税率を前提とするものを除く。)に基づき同年4月1日前に対価の領収をしている同日以後に行われる飲食料品の譲渡(当該対価を領収している部分に限る。)

条件は3つです。3つすべてに当てはまったときだけ、8%のまま残ります。

#条件締切
①その契約を締結していること2026年12月31日まで
②その代金を受け取られていること2027年3月31日まで
③受け取られている部分に限る—

②があるので、届くつど払う契約は当てはまりません。 契約が何年前のものであっても、2027年4月1日以後に届く分は1%になります。逆に言えば、当てはまるのは前払いをした人だけです。

①があるので、2027年1月1日以後に新しく契約すれば、前払いをしても1%です。

(2)通信販売

通信販売の方法により令和9年1月1日前にその販売条件の提示(特例税率を前提とするものを除く。)が行われ同年4月1日前に申込みを受けた同日以後に行われる飲食料品の譲渡

条件は2つで、前払いは条件に入っていません。

#条件締切誰の行為か
①その販売条件が提示されていること2026年12月31日まで売り手
②申込みを受けていること2027年3月31日まで買い手

①が売り手の行為である点が、この規定のいちばん厄介なところです。 買い手から見える締切は2027年3月31日ですが、その手前に「売り手が2026年中に販売条件を提示していた」という、買い手には確かめようのない条件が置かれています。

そのうえ、途中で条件を変えたらどうなるかは、大綱の文面には書かれていません。 後で見るとおり、令和元年の同じ経過措置には「提示した条件に従って」という文言がありましたが、大綱の全16ページを検索しても、この文言は一度も出てきません。 セールなどで販売条件が変わったときにこの除外がどうなるかは、大綱の文面からは読み取れません。

(3)注記でもう1つ加わる(売り手側の話)

この2つには、さらに(注)が付いています。

(注)令和9年4月1日前に行われた飲食料品の譲渡のうち、個人事業者、国、地方公共団体等に係る資産の譲渡等の時期の特例により、同日以後に行われたとされるものについても、同様とする。

「同様とする」なので、これも1%になりません。 実際の引き渡しは2027年3月31日までに終わっているのに、個人事業者や国・地方公共団体等について置かれている「資産の譲渡等の時期」の特例によって、4月1日以後に行われたものとして扱われる譲渡が対象です。

家計の買い物の話ではなく売り手側の話なので、この記事ではこれ以上立ち入りません。ただ、大綱が特例税率から外しているのは「定期便と通販の2つだけ」ではないということは、押さえておいてください。

年内に前払いすると、いくら受け取り損ねるか

設例で計算します。 食材宅配の定期便を税抜12,500円/月で契約し、2027年4月からの1年分(税抜150,000円)を2026年中にまとめて前払いした場合です。

162,000円年内に前払い8%のまま151,500円4月以降に買う1%
年内に前払い8%のまま4月以降に買う1%
本体価格(税抜)150,000150,000
消費税12,0001,500
合計162,000151,500

下の濃い部分(本体価格)は左右で同じ高さです。違うのは上の消費税だけで、12,000円が1,500円に変わります。前払いをすると、この差が手元に返ってきません。

税抜150,000円分の定期便。2026年中に前払いした場合(8%のまま)と、2027年4月以降に1%で買った場合の比較。税抜価格が変わらない前提。

差は10,500円です。 月あたりに直すと875円になります。

前払いした金額(税込8%)ごとに並べると、こうなります。

2027年4月以降に届く分の前払い額(税込8%)受け取り損ねる額
30,000円約1,944円
50,000円約3,241円
100,000円約6,481円
162,000円(上の設例)10,500円
200,000円約12,963円
300,000円約19,444円

計算はどれも同じです。 税込8%の前払い額に6.481%を掛けるだけです。

引き上げのときと同じ形で、向きだけが逆

この2つの規定は、消費税率が上がるときに置かれてきた経過措置と、ほぼ同じ文の形をしています。

令和元年10月1日に8%から10%へ上がったとき、国税庁のリーフレット「消費税率等に関する経過措置」は、主な経過措置を10個挙げていました。そのうちの2つがこれです。

⑥ 予約販売に係る書籍等

31年指定日前に締結した不特定多数の者に対する定期継続供給契約に基づき譲渡する書籍その他の物品に係る対価を31年施行日前に領収している場合で、その譲渡が31年施行日以後に行われるもの(軽減対象資産の譲渡等を除きます。)

⑧ 通信販売

通信販売の方法により商品を販売する事業者が、31年指定日前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、31年施行日前に申込みを受け、提示した条件に従って31年施行日以後に行われる商品の販売(軽減対象資産の譲渡等を除きます。)

「31年指定日」は平成31年4月1日、「31年施行日」は令和元年10月1日です。契約や条件提示の締切があり、その後に対価の領収や申込みの締切があり、そこに当てはまれば古い税率が残る。構造はそのままです。

違いは4つあります。

① 有利・不利が逆になります。 令和元年のときに据え置かれたのは8%で、新しい税率は10%でした。据え置きは買い手を守る仕組みでした。今回、据え置かれるのは8%で、新しい税率は1%です。同じ据え置きが、買い手から取り上げる仕組みになります。

② 動く金額が大きくなります。 税抜100,000円の買い物でいうと、令和元年のときに据え置きが守った差は2,000円(10%と8%の差)でした。今回、据え置きによって受け取れなくなる差は7,000円(8%と1%の差)です。3.5倍になります。

③ 食料品の扱いが裏返ります。 令和元年の⑥と⑧には、どちらも「軽減対象資産の譲渡等を除きます」という括弧書きが付いていました。飲食料品と新聞は、この経過措置の対象外だったということです。8%のまま据え置く意味がなかったからです。今回は逆に、飲食料品だけがこの除外の対象になります。

④ 条件の文言まで同じではありません。 ここが見落としやすいところです。令和元年の⑧には「又は提示する準備を完了した場合において」と「提示した条件に従って」という2つの文言がありましたが、大綱の全16ページを検索しても、どちらも一度も出てきません。 大綱が求めているのは「令和9年1月1日前に販売条件の提示が行われた」ことだけです。準備だけで足りるのか、途中で条件を変えるとどうなるのかは、大綱の文面からは読み取れません。「ほぼ同じ形」と言えるのは構造の話であって、条件の文言までそろっているわけではありません。

準備期間も半分になっています

日付の間隔も違います。

締切(契約・条件提示)施行日間隔
令和元年の引き上げ平成31年4月1日令和元年10月1日183日
今回の引き下げ令和9年1月1日令和9年4月1日90日

93日短くなっています。 前回のおよそ半分です。しかも今回は、その「締切」が来るのが記事の公開時点から3か月ちょっと先で、法律はまだ成立していません。

「特例税率を前提とするもの」は、外れません

(1)(2)のどちらにも、同じ括弧書きが入っています。

(不特定かつ多数の者に定期的に継続して供給する契約をいい、特例税率を前提とするものを除く。)

その販売条件の提示(特例税率を前提とするものを除く。)

つまり、売り手が「2027年4月からは1%の価格になります」という前提で契約や条件提示をしていれば、除外の対象になりません。 その場合は1%が適用されます。

これは読者にとって重要です。同じ「年内に契約した定期便」でも、事業者がどう案内しているかで結果が変わります。 契約書や申込画面に、2027年4月以降の税率についての記載があるかどうかを見てください。

令和元年のQ&Aが示している境目(参考)

この記事は当初、ここに「今回の特例について、国税庁のQ&Aはまだ出ていません」と書いていました。これは誤りでした。 国税庁のQ&Aは本記事の公開前に出ていました(この記事の末尾近くの「その後 ― 国税庁のQ&Aが出ていました」を参照)。以下は令和元年の引き上げのときの経過措置についての国税庁の解釈であって、今回の特例の扱いを示したものではありません。ただし、条件の読み方の参考にはなります。

国税庁は、通信販売の経過措置について2つの事例を示していました。

セールをすると、そこで条件の提示がやり直されたことになる。

平成31年8月に数日間セールを行っていますので、当該セール以後においては、新たに販売条件を提示したこととなり、セール終了日以後において、販売条件を当該セール前に戻したとしても、セール開始日以後の商品の販売については、通信販売等の税率等に関する経過措置は適用されません。

価格が動きうると示してある場合は、そもそも「条件を提示した」ことにならない。

予約商品に係る販売価格は、申込時に示された価格から変更される場合があるものであり、参考価格が示されていたにすぎず、実際に販売する時の価格を示していないことから、通信販売等の税率等に関する経過措置の適用要件である「指定日前に販売価格その他の条件を提示し、施行日前に申込みを受けて当該提示した条件に従って施行日以後に商品を販売するとき」には該当せず、この経過措置の適用はありません。

令和元年のときは、どちらも売り手にとって「経過措置が使えなくなる」=新しい10%になる話でした。 仮に同じ読み方が今回も採られるなら、向きが逆になり、価格が動く売り方をしている店ほど、除外から外れて1%になりやすいという結果になります。

ただし、そう読めると決まったわけではありません。 上の2つの事例は、どちらも「提示した条件に従って」という令和元年の条文の文言を拠りどころにしています。その文言が大綱には無い以上、同じ結論が今回も出るとは限りません。

繰り返しますが、これは令和元年の経過措置についての解釈です。今回のQ&Aには、この2つの事例に対応する問はありません(末尾近くの追記を参照)。

選べるのかどうか

大綱の書き方は「特例対象課税資産の譲渡から除外して、特例税率を適用しないこととする」です。 買い手や売り手が選べるとは書かれていません。

参考になるのは、令和元年のときの国税庁の説明です。

経過措置の各規定により、旧税率(8%)が適用される31年施行日以後に事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについては、必ず経過措置を適用することとなります。

当てはまってしまえば、後から選び直せる仕組みではありませんでした。 「気づいたら申し出ればよい」という前提で動かないほうが安全です。

この点は、その後に確認した国税庁のQ&Aで「選択適用ではありません」と明記されていました。 次の節で原文を引きます。

戻るとき(2029年4月)については、何も書かれていません

この特例は2年で終わります。令和11年(2029年)4月1日から、税率は8%に戻ります。

そのとき、同じ問題が逆向きに起きるはずです。2029年3月のうちに前払いした分は1%のままなのか、それとも8%になるのか、という問題です。

令和8年9月15日に閣議決定された大綱を全文で確認しましたが、引き上げ側についての定期供給契約・通信販売の定めはありません。 「令和11年4月1日」が出てくるのは2か所だけで、いずれも別の話です。

令和11年4月1日が出てくる場所中身
中間申告税額の特例特例税率が適用されないものとした場合の税額で計算してよい
総額表示の特例令和11年4月1日〜5月31日は1%に基づく税込価格を表示してよい

決まっていないのか、書く必要がないと判断されたのかも、大綱の文面からは分かりません。 法案が出た段階で、附則を確認する必要があります。

その後 ― 国税庁のQ&Aが出ていました(2026年9月26日追記)

この記事は「国税庁のQ&Aはまだ出ていません」と書いて公開しましたが、これは誤りでした。 国税庁は令和8年9月15日、大綱の閣議決定と同じ日に「消費税率引下げ特設サイト」を開設し、 そこに「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月・全29ページ)を掲載していました。 この記事の公開(2026年9月18日)より3日前です。 以下はその原文で確かめた内容です。

特設サイトは、このQ&Aの位置づけをこう書いています。

なお、内容については、今後、法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のものです。

法律が成立していないことは変わりません。 変わったのは、大綱の1文からは読み取れなかった条件の中身が、国税庁の文章で示されていたことです。

(1)「選べるのかどうか」には答えが出ていました

問1-6の【答】は、こう書いています。

なお、この経過的な取扱いについて選択適用ではありませんので、次の取引を行った場合には税率8%が適用されることとなりますが、税率1%を前提として「契約等をしていることが確認できる場合」や「契約等が変更された場合」には、税率1%が適用されます。

「選択適用ではありません」と明記されています。 令和元年の扱いからの類推ではなく、今回の特例についての国税庁の説明です。

(2)契約を変えれば1%になります

上の引用の後半が、この記事が「大綱の文面からは読み取れません」と書いていた部分です。Q&Aは2つの例を挙げています。

(例1)契約等において「令和9年4月1日以後に販売を行うものは消費税率1%による」旨や「販売価格は●●円(消費税率1%への変更があった場合には■■円とする)」旨の定めがある場合(税率1%を前提として契約等をしていることが確認できる場合)

(例2)当初契約の契約金額を変更する旨の契約を令和9年1月1日以後に締結した場合(事後的な契約変更等により税率1%に基づく取引となる場合)

例2が読者に効きます。 年内に前払いをしてしまっても、2027年1月1日以後に金額を変更する契約を結び直せば、1%になります。 Q&Aの図には、その変更契約の中身の例も書かれています。

R9.4から月額10,100円(1%税込)に変更し、当初契約との差額は〇月〇日までに返金する。

差額の返金までを含めた形が示されています。ただしこれは売り手が応じるかどうかの話で、買い手が一方的にできることではありません。

この設例は、この記事の計算と一致します。 Q&Aの図は「〇R9.3まで月額10,800円(8%税込)」「〇R9.4から月額10,100円(1%税込)」と書いています。本体価格はどちらも10,000円で、差は700円です。700円は10,800円の6.4815%で、この記事が使っている6.481%と同じ数字です。

(3)定義が3つ示されていました

大綱には無かった定義が、注として書かれています。

言葉Q&Aの定義
定期的に継続して供給する「週、月、年その他の一定の周期を単位とし、おおむね規則的に継続して供給することをいいます」
販売条件の提示「新聞、テレビ、チラシ、カタログ、インターネット等の媒体を通じて購読者又は視聴者等に対して販売条件を提示すること」。訪問面談によるものは含まれない
申込み「インターネットを利用した申込みや預貯金の口座に対する払込みによる売買契約の申込み」が含まれる。訪問面談による売買契約の申込みは含まれない

「販売条件の提示」は、提示できる状態になっただけで足りる場合があります。

また、この「販売条件の提示」には、販売条件の提示方法に応じ、いつでも提示することができる状態にある場合(例えば、販売条件を掲載したカタログ等の印刷物の作成を完了した場合など)も含まれます。

カタログが刷り上がった時点で「提示」になり得るということです。買い手には確かめようのない条件だ、と本文に書いた点は、むしろ強まりました。

(4)(注)の対象者は、大綱より狭く書かれています

大綱の(注)は「個人事業者、国、地方公共団体等」でした。Q&Aは対象を絞って書いています。

(参考) 令和9年4月1日前に行われた飲食料品の譲渡のうち、所得税法上の現金主義の適用を受けている小規模事業者(消法18①)又は国・地方公共団体(これらに準ずる法人を含みます。)(消法60②③、消令74①②)が、これらの規定(資産の譲渡等の時期の特例)により、同日以後に行われたとされるものについても、税率8%が適用されることとなります。

個人事業者のすべてではなく、所得税法上の現金主義の適用を受けている小規模事業者です。

(5)セールの扱いは、今回のQ&Aにも書かれていません

前に引いた令和元年の2つの事例(セール・予約商品)に対応する問は、今回のQ&Aにはありません。Q&Aが挙げた「税率1%を前提とする」例は上の例1・例2の形で、期間限定のセールで条件が提示し直されたことになるかどうかは、今回の文面からは読み取れません。 この点は引き続き未確定です。

結論は変わりません

前払いをしなければ、この除外に当たりません。 その判断は変わりません。変わったのは、当たってしまった場合に契約を変更する道があると国税庁が書いていたことと、選んで外れることはできないと確定したことの2点です。

あなたの数字で確かめる手順

① 定期便の「契約日」と「支払い方法」を見る

見るものどこにあるか
契約した日申込完了メール、マイページの契約情報
支払い方法都度払いか、まとめて前払いか

都度払いなら、ここで終わりです。 2027年4月以降に届く分は1%になります。

② 前払いしている場合、2027年4月以降に届く分がいくらかを出す

前払いした総額 ÷ 契約期間(か月) × 2027年4月以降に届く月数

②で出した金額が、判定の対象になる部分です。 大綱が「当該対価を領収している部分に限る」と書いているので、前払いしていない部分は1%のままです。

③ 6.481%を掛ける

②の金額(税込8%)× 6.481% = 受け取り損ねる額

税抜価格で持っているなら、7%を掛けても同じです。

④ 迷ったら、前払いをしない

判定に自信が持てない契約があれば、2027年4月以降の分を年内に前払いしないのが安全側です。 前払いをしなければ(1)の条件②に当たらないので、除外されません。

まとめ

  • 2027年4月1日から食料品は1%になるが、令和8年9月15日に閣議決定された大綱は家計に関わるものとして2つを除外している。年内に契約して前払いした定期供給契約と、年内に条件が提示されていた通信販売(このほか注記で、資産の譲渡等の時期の特例により4月1日以後に行われたとされる譲渡も同様に外される。こちらは売り手側の話)
  • 定期供給契約の条件は3つ。 令和9年1月1日前の契約、令和9年4月1日前の代金の受領、受領している部分に限る。届くつど払う契約は当てはまらない
  • 通信販売の条件は2つで、前払いは条件に入っていない。 令和9年1月1日前の条件提示(売り手の行為)と、令和9年4月1日前の申込み
  • どちらにも「特例税率を前提とするものを除く」という括弧書きがある。 売り手が1%を前提に案内していれば、除外されずに1%になる
  • 差は税抜価格のちょうど7%(税込8%の価格で6.481%)。税抜150,000円の定期便なら、8%のままで162,000円、1%なら151,500円で、差は10,500円(月875円)
  • これは税率が上がるときの経過措置と同じ形で、向きだけが逆。 令和元年の⑥予約販売に係る書籍等・⑧通信販売と構造が同じだが、あちらは据え置きが買い手に有利で、しかも、「軽減対象資産の譲渡等を除きます」として飲食料品は対象外だった。今回は飲食料品だけが対象
  • ただし条件の文言までは同じではない。 令和元年の⑧にあった「提示した条件に従って」「又は提示する準備を完了した場合」は、大綱の全16ページのどこにも無い。途中で販売条件を変えたときの扱いは、大綱の文面からは読み取れない。(2026年9月26日追記)この点は国税庁のQ&Aで一部が埋まった。 契約や販売条件が下がった税率を前提としている場合、および契約金額を変更する契約を結び直した場合は、除外されずに下がった税率が適用される。ただし期間限定のセールの扱いは、今回のQ&Aにも書かれていない
  • 動く金額も大きい。税抜100,000円あたり、令和元年は2,000円、今回は7,000円で3.5倍
  • 締切から施行日までの間隔は、令和元年の183日から今回は90日へ、93日短くなった
  • 2029年4月に8%へ戻るときの同じ定めは、大綱に無い。 引き上げ側は未確定
  • 判定に迷うなら、2027年4月以降に届く分を年内に前払いしない
  • 大綱は令和8年9月15日に閣議決定された。 閣議決定前の令和8年9月11日版(案)と全文で突き合わせたが、この記事が扱う第二 一 2 の除外規定に変更は無い。ただし閣議決定は法律ではない。 根拠法はまだ成立しておらず、法案も提出されていない(2026年9月26日に再確認。国会そのものがまだ召集されていない)。(2026年9月26日追記)国税庁のQ&Aは、令和8年9月15日にすでに出ていた。 この記事が「まだ出ていない」と書いて公開したのは誤りで、末尾近くに追記した。ただしQ&A自身が「法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のもの」と書いており、通達も出ていないので、実務上の線引きが最終的に確定したわけではない

確認すべきは、いつ届くかではなく、いつ契約していつ払ったかです。 手元の定期便の契約情報を開くところから始めてください。

よくある質問

年内に申し込んだ食材宅配は、2027年4月以降に届いても1%にならないのですか。

前払いをしているかどうかで分かれます。令和8年9月15日に閣議決定された大綱が特例税率(1%)から除外するのは、「令和9年1月1日前に締結した定期供給契約(不特定かつ多数の者に定期的に継続して供給する契約をいい、特例税率を前提とするものを除く。)に基づき同年4月1日前に対価の領収をしている同日以後に行われる飲食料品の譲渡(当該対価を領収している部分に限る。)」です。条件は3つあり、①令和9年1月1日より前に契約していること、②令和9年4月1日より前に代金を受け取られていること、③その受け取られている部分であること、をすべて満たしたときだけ8%のまま残ります。したがって、届くつど代金を払う契約なら、契約が何年前のものでも2027年4月1日以後の分は1%です。逆に、2026年中に契約して1年分をまとめて前払いした定期便は、2027年4月以降に届く分も8%のままになります。なお、この大綱は令和8年9月15日に閣議決定されましたが、根拠となる法律はまだ成立していません。条文は法案が出てから確認する必要があります。

通信販売はなぜ前払いが条件になっていないのですか。

大綱の書き方が定期供給契約と違うためです。通信販売について除外されるのは「通信販売の方法により令和9年1月1日前にその販売条件の提示(特例税率を前提とするものを除く。)が行われ同年4月1日前に申込みを受けた同日以後に行われる飲食料品の譲渡」で、代金をいつ払ったかは条件に入っていません。条件は、①売り手が令和9年1月1日より前に販売条件を提示していたこと、②買い手が令和9年4月1日より前に申し込んだこと、の2つです。つまり買い手側の締切は令和9年4月1日ですが、その前提として売り手が年内に販売条件を提示していたことが必要で、ここは買い手には確かめようがありません。なお、令和元年の同じ経過措置には「提示した条件に従って」という文言がありましたが、大綱(全16ページ)を検索するとこの文言は一度も出てきません。途中でセールなどにより販売条件が変わった場合にこの除外がどうなるかは、大綱の文面からは読み取れないということです。また、売り手が「2027年4月からは1%の価格です」と条件を示し直せば、その提示は「特例税率を前提とするもの」に当たり、除外されません。買い手が自分だけで判定しきれない部分が残るのはこのためです。

8%のままになると、いくら損をしますか。

税抜価格の7%です。税率が8%から1%へ7ポイント下がるので、税抜価格が同じなら差は税抜価格の7%ちょうどになります。税込8%の価格で見ると6.481%です。たとえば税抜12,500円の定期便を12か月分、2026年中にまとめて前払いすると、支払額は162,000円です。同じ中身を2027年4月以降に1%で買えば151,500円なので、差は10,500円、月あたり875円になります。前払いした額(税込8%)が100,000円なら6,481円、200,000円なら12,963円です。ただしこれは「税抜価格が変わらない」という前提を置いた計算で、事業者が税抜価格を上げれば店頭価格の差はこれより小さくなります。

あとから「1%にしてほしい」と申し出ることはできますか。

大綱にそのような定めはありません。除外の書き方は「特例対象課税資産の譲渡から除外して、特例税率を適用しないこととする」で、買い手や売り手が選べるとは書かれていません。参考になるのは令和元年10月1日の引き上げのときの扱いで、国税庁のリーフレットは「経過措置の各規定により、旧税率(8%)が適用される31年施行日以後に事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについては、必ず経過措置を適用することとなります」としていました。適用するかどうかを選べる仕組みではなかったということです。この点は、その後に確認した国税庁のQ&Aで答えが出ました。国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月)の問1-6は「なお、この経過的な取扱いについて選択適用ではありませんので、次の取引を行った場合には税率8%が適用されることとなりますが、税率1%を前提として「契約等をしていることが確認できる場合」や「契約等が変更された場合」には、税率1%が適用されます」としています。つまり選んで外れることはできませんが、契約を変更すれば税率1%になります。ただしQ&A自身が「内容については、今後、法案が国会に提出され、審議を経た上で可決・成立した場合のものです」と書いているとおり、法律はまだ成立していません。確実なのは、条件に当てはまらないようにしておくこと、つまり前払いをしないか、年明けに契約することです。

消費税が上がるときにも同じ仕組みがありましたか。

ありました。形はほぼ同じで、向きだけが逆です。令和元年10月1日に8%から10%へ上がったときは、国税庁の資料が挙げる経過措置の⑥予約販売に係る書籍等が「31年指定日前に締結した不特定多数の者に対する定期継続供給契約に基づき譲渡する書籍その他の物品に係る対価を31年施行日前に領収している場合で、その譲渡が31年施行日以後に行われるもの(軽減対象資産の譲渡等を除きます。)」、⑧通信販売が「通信販売の方法により商品を販売する事業者が、31年指定日前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、31年施行日前に申込みを受け、提示した条件に従って31年施行日以後に行われる商品の販売(軽減対象資産の譲渡等を除きます。)」でした。このときは古い税率が8%、新しい税率が10%だったので、据え置かれることは買い手に有利でした。今回は古い税率が8%、新しい税率が1%なので、同じ据え置きが不利に働きます。しかも令和元年のときはどちらも「軽減対象資産の譲渡等を除きます」とされ、飲食料品は対象外でした。今回は逆に、飲食料品だけがこの除外の対象です。

2029年4月に8%へ戻るときも、前払いすれば1%のままにできますか。

大綱には、そのような定めが置かれていません。令和8年9月15日に閣議決定された大綱(全16ページ)を全文で確認すると、定期供給契約と通信販売について書かれているのは第二 一 2 の引き下げ側だけで、令和11年4月1日以後についての同じ定めはありません。令和11年4月1日が出てくるのは中間申告税額の特例と総額表示の特例の2か所だけです。したがって、2029年4月1日以降に届く分を2029年3月中に前払いすれば1%のままになるのか、それとも8%になるのかは、現時点の大綱からは読み取れません。決まっていないのか、書く必要がないと判断されたのかも分かりません。法案が出た段階で条文を確認する必要があります。

生協やネットスーパーの利用は、どちらに当たりますか。

契約の形によります。大綱は「定期供給契約」を「不特定かつ多数の者に定期的に継続して供給する契約」としか書いておらず、「通信販売」については定義を置いていません。令和元年の経過措置では、通信販売は「不特定かつ多数の者に商品の内容、販売価格その他の条件を提示し、郵便、電話その他の方法により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って行う商品の販売をいい、予約販売に係る書籍等の税率等に関する経過措置に規定する契約に係る販売を除きます」と説明されていましたが、これは今回の特例についての説明ではありません。実務上の線引きは、法律の成立と国税庁のQ&Aを待つことになります。確実に言えるのは、注文のつど代金を払う買い方であれば定期供給契約の除外には当たらないこと、そして2027年1月1日以後に新たに契約すれば定期供給契約の除外には当たらないことの2つです。判断に迷う契約があれば、前払いを避けておくのが安全側の対応になります。

出典

制度の内容は改正されることがあります。判断の際は必ず出典元の最新情報をご確認ください。